ジェームズ・ディーンが歳を重ねたなら。想像と憧れ、Mr.Gentleman EYEWEAR「JBD」
2023/12/30
『Mr.Gentleman EYEWEAR(ミスタージェントルマンアイウェア)』のニューモデル「JBD」が、静かに熱い。今回はこの新作の魅力を、定番人気モデル「JIMMY」と比較しつつご紹介する。届いたばかりのニュールックと共に世界観をお楽しみいただきたい。
「JBD」とジェームズ・ディーン
「JBD」は、アメリカの伝説的俳優ジェームズ・ディーンの本名から名付けられたモデルだ。James Byron Deanのイニシャルを取って、「JBD」。「憧れを生み出すもの」というコンセプトでプロダクトを展開する『Mr.Gentleman EYEWEAR』にとって今作は、ジェームズ・ディーンへの憧れとリスペクトを込めてデザインされたモデルといえる。
実は『Mr.Gentleman EYEWEAR』は過去にも、ジェームズ・ディーンに関連したモデルを発表している。「JIMMY」……ジェームズ・ディーンの愛称「ジミー」から名付けられた、高い人気を集めるモデルだ。
同じ人物からインスピレーションを得た全く別のモデルが展開されるというのは、サイズ違いを除き、『Mr.Gentleman EYEWEAR』において大変珍しいことだと思う。憧れを別角度で解釈した、という表現ができるかもしれない。ジェームズ・ディーンから得たインスピレーションが今作「JBD」ではどう異なるのか、次に「JIMMY」と比較しつつご紹介したい。
「JIMMY」とは違うアプローチで
定番モデル「JIMMY」は、ジェームズ・ディーンが生前愛用していたタート・オプティカル・エンタープライズィズ社(Tart Optical Enterprises Inc. )のアーネル(Arnel)をオマージュしたモデルである。アメリカンクラシックな雰囲気のウェリントンタイプメガネで、46mmと44mmの2サイズ展開されていることもあり、男女問わず人気が高い。
私は以前「JIMMY」に関する記事で、こんなことを書いていた。FEATURE記事「憧れのJIMMY、44mmと46mmのミスタージェントルマンアイウェアの新定番」より抜粋する。
ジェームズ・ディーンのメガネ姿の写真を見ると、〈JIMMY〉が彼のメガネをオマージュしたものだということがすぐにわかる。
プライベートで実際に愛用していたというTART社はすでに廃業してしまっているため、いくら憧れても同じものを手に入れることはできない。そこで作られたのが、ミスタージェントルマンアイウェアの〈JIMMY〉というわけだ。
もう当時のメガネと掛け比べることは叶わないが、世界屈指の技術力をもって作られるこのミスタージェントルマンアイウェアのニューフェイスが、もし当時あったとしたなら、その質の良さと快適さから、あるいはジェームズ・ディーン自身手に取っていたのではないかとさえ思う。
|JIMMY(Mr.Gentleman EYEWEAR)
上質な生地を使い世界屈指の工場で作られる『Mr.Gentleman EYEWEAR』のアイウェアは、他ブランドのウェリントンメガネと比較しても非常にクオリティが高く、「もし当時あったとしたなら、その質の良さと快適さから、あるいはジェームズ・ディーン自身手に取っていたのではないか」というのは妥当な評価だと今でも思う。
さて、この「当時あったとしたなら」というのが今作「JBD」のポイントで、「JIMMY」が当時のジェームズ・ディーンからインスピレーションを得たのだとしたら、「JBD」は、その後のジェームズ・ディーンへのイマジネーションから生まれたモデルだ。
デビューからわずか半年後、人気絶頂を目前に、自動車事故により24歳の若さで亡くなったジェームズ・ディーン。彼が事故に遭わず、その後も生きていたとしたら?今作は、そんな“If”がキーとなっている。
ジェームズ・ディーンが歳を重ねたなら
デザイナー高根氏が10代の頃、ジェームズ・ディーンは世界のファッションアイコンだった。白いTシャツとジーンズ、「理由なき反抗」の象徴的な赤いジャケット、そして愛車のポルシェ550スパイダー。その全てが世界中の憧れの的であり、高根氏の憧れでもあった。そしてその憧れは当時だけでなく、現在も抱いている。ジェームズ・ディーンは、ずっとカッコいい。
しかしそれから何十年と経ち、彼が亡くなった年齢の倍以上を生きた今、高根氏は考えたそうだ。
「彼が生きていたら、例えば40代を生きていたら、どんなメガネをかけていただろう?」
高根氏の言葉を借りるなら、「他に類を見ない独自のセンス」で、「幼さとアダルトな雰囲気」を合わせ持ち、「クールでフォトジェニックな表情やしぐさ」により多くの人を魅了するジェームズ・ディーン。どこか危うい魅力を持つその青年は、年齢と共に、美しい皺を刻んだりしたのだろうか?
……そうして、24歳で亡くなったジェームズ・ディーンが歳を重ね、成熟した姿をイメージしてデザインされたのが、今作「JBD」だ。
実在した人物の、実際にはあり得ない姿を想像しながらデザインしたのは、高根氏にとって初めての経験だったという。しかしこれもまた「憧れを生み出すもの」。高根氏にとって変わらぬ憧れは「JBD」を通じて進化し、より多くの人の憧れに繋がりそうだ。
より上品な大人っぽいフレーム
「JBD」の形は「JIMMY」がベースになっている。当時の面影は残しつつ、より大人っぽいデザインに変化させたようなモデルだ。
具体的な特徴を述べるのであれば、最も大きな変更は線の細さだろうか。全体的に少し華奢な印象で、「JIMMY」に比べ圧迫感が少ない。またレンズも玉型を少し横長にしたようなイメージで、尖っておらず知的な雰囲気だ。
全体的に上品で、まさに大人にこそ似合うフレーム。端正なラインが薄く刻まれた皺と調和し、その魅力をより引き立てるだろう。
『Mr.Gentleman EYEWEAR』にとって全く新しい切り口だったが、結果としては大成功で、「JBD」は発売以来大変好評だという。品切れが続いているが、再販の目処も立っているそう。
端正な見た目でありつつ大胆な背景を持った、この静かに熱いニューモデルは、あなたにどのような憧れをもたらしてくれるだろうか?24歳をとうに過ぎたあなたが、今、自分自身と重ねる新しい憧れとして、「JBD」はぴったりの選択肢だと思う。
山田ルーナ - 文