「男性的な艶」という、ジェンダーレスな提案。ADJUSTABLE LENGTH GLASS CODE 4 / DIFFUSER
2024/02/10
今回ご紹介するのは「ADJUSTABLE LENGTH GLASS CODE 4」。アイウェアアクセサリーブランドDIFFUSERの中でも特に人気の高いアジャスタブルシリーズの第4弾だ。ファンも多いアイテムだと思うが、4型目となるこの新作では具体的にどのようなアップデートがあったのだろう?福井県で製作されたオリジナルのラメ混合紐と、男性的というコンセプトにフォーカスし、その魅力を探ってみたい。
あなたのためのアジャスタブル
グラスコードというのは、便利なアイテムだ。これをアイウェアにつけておけば、かけるとき、外すとき、収納の手間をかける必要がない。リーディンググラスやサングラスなどで特に重宝するのではないだろうか。
しかし同時に、煩わしく感じる瞬間がある。多くの場合グラスコードは長さが決まっているので、骨格によっては長すぎたり短すぎたりということが起こるのだ。たとえば長すぎる場合、首から提げているアイウェアを机にぶつけてしまった、という経験はないだろうか。あるいは短すぎる場合、着脱がスムーズにいかないということも。
そんな状況を想ってこそ、DIFFUSERは初期からアジャスタブルグラスコードを展開している。調整方法は、紐の輪になっている部分に指を引っかけて、レザーパーツをスライドさせるだけ。なおこのレザーパーツは、つまみやすいよう鋲がついており、この部分の向きを変えることで、右利きにも左利きにも対応可能。すべての人が、簡単かつスピーディに長さを変えられるよう、工夫されているのだ。ちなみにこのパーツの形状は、第4弾である本作より変更されている。つまみやすさはそのままに、よりスマートな見た目になったのではないだろうか。
また「ADJUSTABLE LENGTH GLASS CODE」は、グラスコードというアイテムのファッション的特徴を存分に楽しめるアイテムだとも思う。つまり、顔まわりの曲線が、とても美しく描かれるようなアイテムなのだ。多くの既製品の場合、自分の骨格にとって最もカッコいいところに紐が垂れてくれるということは、まずあり得ない。しかし「ADJUSTABLE LENGTH GLASS CODE」は、アジャスタブルだからこそ、自分が一番素敵に見える長さに紐を設定することができる。
冬のコートスタイルも、夏の軽装も、あなたのためのアジャスタブルで。一年中カッコよく楽しめるのが、この「ADJUSTABLE LENGTH GLASS CODE」なのだ。
言い忘れていたが、レザーパーツはもちろんイタリアンレザー。DIFFUSERらしさを感じられるディティールだと言えるだろう。小さなパーツだが、小さなパーツだからこそ、そのエイジングを大切に味わってみたい。
ゆらっと鈍く光る、福井県で製作したオリジナルコード
そんなレザーパーツと相性の良い、渋いがカラフルな紐は、DIFFUSERの新しいオリジナルコードだ。
製作は、化合繊の一大生産地である福井県に拠点を置く工場。北陸地方は、他の地域に比べて雨が多く湿度も高いため、糸切れしにくく、ケバの出にくい、つまり質の良い糸が作りやすい。福井県もまたそういった理由で、繊維産業が栄えたそうだ。
「ADJUSTABLE LENGTH GLASS CODE 4」のコードは、江戸八打ちという、江戸時代から続く伝統的な組み方で編まれている。耳馴染みがないかもしれないが、巾着袋などの紐によく使われているもの……と聞けば、イメージしやすいだろうか。細いロープ状になっている丸紐で、丈夫でしなやかという特徴がある。人によっては和の雰囲気を感じるかもしれない。
しかし「ADJUSTABLE LENGTH GLASS CODE 4」自体に、和な雰囲気はない。アクリル製ならではの軽量感、柔軟性もその理由の一つかもしれないが、一番の理由は、組み込まれているラメ糸だろう。
本作は、ラメ糸を組み込む事で、艶のある色合いに仕上げられている。ゆらっとした光沢が、なんともカッコいい。ラメが入っているからといってチープな印象はなく、むしろ大人っぽい上品さを感じられるはずだ。伝統に裏打ちされた確かな質感は、DIFFUSERのラグジュアリー感とも相性が良い。
さらに面白いのは、「ADJUSTABLE LENGTH GLASS CODE 4」は男性に向けてラメ糸を提案するというコンセプトのもと生まれたアイテムだということだ。男性に向けたラメ糸。それって一体、どういうことだろう?
「男性的な艶」という、ジェンダーレスな提案
男性に向けてラメ糸を提案した商品というものを、私はあまり見たことがない。ラメの持つ華やかさは大抵の場合女性のためのもので、というよりはそういうイメージが刷り込まれていて、男性の需要がそもそもないということが原因だと思う
しかし本作はDIFFUSERが男性に向けて、男性でも楽しめる艶っぽさを表現したアイテムなのだ。
革の紐ともまた違う艶感が、このラメ混合紐にはある。ゆらっと鈍く光る、魅力的な色っぽさ。控えめな艶感。それは紳士たちが持つ渋さにも似ている。
しかし私はこの「男性的な艶」という表現を、むしろジェンダーレスな提案に感じた。
昨今「女性的」「男性的」という言葉がややセンシティブになりつつあるが、むしろ性が多様化されてきたこの時代だからこそ、これらはもっとフラットに使えるようになっているのではないだろうか。男性が積極的に選択できる「女性的」なもの、あるいはその逆で、女性が選択できる「男性的」なもの。これらは性別に関係なく、表現の一種として、誰しもが自由に選択することができる。すべての人に提示される選択肢の一つなのだ。
だから本作も、そういう視点で選んでみるのはどうだろう。より深みのある色気を手に入れたい男性、あるいはマニッシュな雰囲気を楽しみたい女性、その両方を、それぞれより素敵に見せてくれるような、懐の深いアイテムなのではないだろうか。
そういう意味で「ADJUSTABLE LENGTH GLASS CODE 4」は、この時代にとてもよくマッチするグラスコードだと感じる。本作でシリーズ第4弾ということだが、今あえてこのアイテムを展開するということ……新しいこの時代にあえて原点に戻り、より多くの人々に向けた商品としてアップデートするということに、ブランドとしての挑戦を感じた。
カラーは6色展開。「Black & Red - Grey Leather」「Blue & Dark Brown - Camel Leather」「Dark Brown & Brown - Natural Leather」「Dark Grey & Light Grey - Blue Navy Leather」「Dark Purple & Light Purple - Yellow Leather」「Dark Green & Green - Black Brown Leather」である。DIFFUSER曰く「ラメ糸と聞くと女性的なイメージを連想される方も多いと思いますが、組み合わせる色を考えて男性的な印象に仕上げています」とのこと。彼らが表現する新しい「男性的」な魅力を、男女問わず、本作を通じて楽しんでいただきたい。
山田ルーナ - 文