新たな旅路。Mr. Gentleman EYEWEARデザイナー高根俊之氏、韓国訪問レポート。
2025/01/10
Mr. Gentleman EYEWEARは、現在韓国国内の消費者から高い評価を受け、さらなる市場展開が期待されているアイウェアブランドだ。そのデザイナー高根俊之氏が、この冬初めて韓国を訪問した。現地の取引先やアイウェアファンとの対話を通じて、韓国市場におけるブランドの成功と課題を直に確認することができた今回の訪問は、ブランドの未来を切り開く重要な一歩となったようだ。
広島から韓国へ。STANDARDというメガネ店
韓国市場において、Mr. Gentleman EYEWEARはすでに確かな足跡を刻みつつある。
その足跡を直接確かめるべく、この度初めて韓国を訪れたのは、ブランドの代表兼デザイナー高根俊之氏。高根氏が住む広島県からソウルまで、直行便でおよそ2時間。距離的には近いが文化のまったく異なるこの国で、高根氏は何を見て、何を思ったのだろうか。
韓国国内におけるブランドの軌跡を支えている要素の一つに、Mr. Gentleman EYEWEARの卸しも担うソウルのオプティカルストア「STANDARD」がある。
カルチャーの発信地として知られるソウルの弘大エリアに位置するSTANDARD。若い夫婦が運営しており、その調整力の高さに定評があるメガネ店だ。Mr. Gentleman EYEWEARのプロダクトに関しては、以前から医学的な観点でその美しさを評価していて、かけ心地の良さを重視するSTANDARDの顧客層を中心に積極的にファンを増やしているのだそう。余談だが、オーナーの親もまたメガネ店を経営していたらしく、同じくメガネ店に生まれた高根氏のバックグラウンドともどこか重なる。
実は、今回の韓国訪問で高根氏が真っ先に訪れたのが、STANDARDだった。広島から仁川空港に到着後、景色や食事といった韓国らしさを味わうよりも先に足を運んだのがこの店である。そのため、高根氏にとって最初の韓国の印象は、STANDARDでの出会いから始まったと言っても過言ではない。その印象は極めてポジティブで、現地スタッフや顧客との交流を通じて、韓国市場への期待がさらに高まるきっかけとなった。
YouTubeで見せた「直感でかっこいい」を形にする情熱
そんな高根氏の韓国での様子は、STANDARDの公式YouTubeでもチェックいただける。
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STANDARDのYouTubeチャンネルは、韓国のメガネ好きにとってちょっと話題のコンテンツだ。
彼らの番組は多くの視聴者を惹きつけ、Mr. Gentleman EYEWEARのみならず多くのアイウェアブランドの美学を効果的に発信している。メガネ店のYouTubeチャンネルは通常社内で撮影から編集まで行われることが多いが、STANDARDの動画制作には外部の専門家が関わっていることも特徴的。映像のクオリティが非常に高く、ブランドの洗練性を際立たせる一助となっている。
高根俊之氏は自身が出演したYouTubeで、Mr. Gentleman EYEWEARを象徴する哲学とその裏にある情熱を余すことなく語った。
その中でも特に印象的だったのは、デザインへの姿勢に関する発言だ。「直感でかっこいいと思うものを作り上げる」。この一言は、高根氏が生み出すアイウェアすべてに宿る普遍的な信念を見事に表現していると言えるだろう。
インタビュアーがMr. Gentleman EYEWEARの魅力を語る中で、「品質が変形しにくく長時間の使用にも耐える」「価格が合理的である」という点が何度も強調された。
その品質の背景にあるのは、製造工程への徹底したこだわりである。高根氏は「優れた工場をセレクトし、自身の想いを製品に反映させている」と語り、顧客との対話や経験から得たインスピレーションをアイウェアに結実させていることを明かしている。この姿勢は「良いものは作り手の情熱によって支えられる」という普遍的な真理を思い起こさせるものであり、高根氏の情熱もまた、このYouTubeで十分に伝えることができたのではないだろうか。
動画の最後、高根氏は韓国のファンに向けて「愛してまーす」と笑顔で挨拶し、会話を締めくくった。その軽やかな一言には、ブランドに込めた想いと、韓国市場への深い感謝が滲み出ていたように思う。
STANDARDとMr. Gentleman EYEWEARの付き合いはさほど長くはないが、しかしMr. Gentleman EYEWEARにとってこのショップは、もはやただの取引先ではないだろう。彼らはブランドの魅力を深く理解し、それを丁寧に広める役割を果たしている点で、もはやパートナーと呼んでもいいかもしれない。
初めて触れた生の声と、新たな挑戦
また、今回の訪問では、韓国の有名メガネブロガーとの対話を通じて、ブランドの魅力をより多角的に伝える機会を得た。
▶︎高根俊之氏インタビュー(韓国のブログ「안경 쓴 거북이/眼鏡をかけた亀」)
この記事では、ブランド名の由来やデザイン哲学、韓国市場への関心、そして今後の展望について語られている。筆者によれば、2022年から韓国のエージェンシーと提携している高根氏は、韓国市場での成長を実感しながら、現地の消費者ニーズへの深い理解を示している。また、韓国の文化やエンターテインメント産業に対して敬意を抱きつつ活動している様子が紹介された。
このインタビューは韓国のアイウェアユーザーに新たな理解をもたらし、Mr. Gentleman EYEWEARのブランドイメージをさらに強固なものにしたはずだ。
また記事内では新作モデルも紹介され、特に「BONO(ボーノ)」と「LARRY(ラリー)」がフィーチャーされている。
独立したツインブリッジ構造を持つこれらの新モデルは、通常のアイウェア製造では不可能とされる複雑な構造を、繊細な技術と職人の手作業によって実現している。STANDARDのYouTubeチャンネルでも「他では見ることのできない独特なデザイン」と絶賛されていたが、この滞在で寄せられた生の声は、おそらく高根氏に大きな自信をもたらしたはずだ。
韓国での滞在中、高根氏は取引先や消費者の声を直接聞き、その反応を肌で感じた。これまで代理店を通じた間接的な情報に頼っていたが、現場に足を運ぶことで、市場の実態をより深く理解できたのだ。これはブランドにとって、非常に大きな収穫となったと言える。
そしてだからこそ、今回の訪問を通じて、生産面での課題にも新たな視点が生まれた。別注モデルや製造本数を求められ期待されている今、生産面を見直すには良い機会なのかもしれない。高根氏は帰国後早速鯖江市にある工場へと足を運び、品質を損なうことなく新しい生産体制を築くための方向性を、考え始めている。
経験したすべてのものがインスピレーション
STANDARD訪問とYouTube撮影、現地有名ブロガーによる取材、そしていくつかの取扱店訪問……と、充実した内容で、高根氏の初めての韓国訪問は幕を閉じた。
今回の韓国訪問は、Mr. Gentleman EYEWEAにとって大きな一歩であると同時に、新たな挑戦の始まりでもある。
韓国市場で得た経験と成功は、次なる市場への道を切り開く重要な足がかりとなるだろう。高根氏自身も、次は台湾や他のアジア市場への進出を視野に入れていると語った。その視線の先には、Mr. Gentleman EYEWEARの美学と哲学をさらに多くの人々に届けたいという強い意志がある。
「私が生きてきた中で経験したすべてのものが、インスピレーションとしてあります」。高根氏はYouTubeでそんなことを話していた。今回の韓国訪問もまた、高根氏のインスピレーションとなり、さらに良いアイウェアを生み出すための代えがたい財産となったはずだ。
韓国市場における成功は単なる偶然ではない。Mr. Gentleman EYEWEARは今後もその確固たる美学と哲学をもって、韓国のスペシャリストたちとの素晴らしいパートナーシップのもと、韓国市場での確固たる評価を積み重ねていく。
山田ルーナ - 文