ソメスサドルの手仕事と、DIFFUSERの配色美学。DIFFUSER × SOMÈS SADDLE / CRAFTMANSHIP COLLECTION BOX FOR 3
2025/04/30
アイウェアアクセサリーブランドDIFFUSERと、日本唯一の馬具メーカー・ソメスサドルが出会い、この度3本のメガネのための特別なレザーボックス「CRAFTMANSHIP COLLECTION BOX FOR 3 / SOMÈS SADDLE」が誕生した。今作がただの収納箱に思えないのは、この箱が職人の手により、道具を超え作品へと昇華されているから。“使う”ではなく、“ともにいる”。そう呼びたくなるような美しい佇まいを持つアイウェアアクセサリーを、ここにご紹介する。
ソメスサドル - 手仕事が息づく北の工房で
北海道・砂川に工房を構えるソメスサドルは、日本で唯一の馬具メーカーとして知られるレザーファクトリーだ。創業は1964年。競走馬用の鞍から、宮内庁の儀礼用装備にいたるまで、命を支える道具を生み出す誇りと責任を持ち続けてきた。
所属する技術者は現在70人ほど。継承者不足が問題視される昨今、積極的な新卒採用を行うのは、工房の持続可能性を重要視しているから。例えばソメスサドルの工房では、年長の職人1人と若い世代の職人たちが一卓を囲み、ひとつの製品を仕上げていくスタイルを取っている。共にものづくりをするからこそ伝えられることがあると、彼らは考えているのだ。
さらに、そこで後の世代に伝えられるのは、技術だけではない。素材に向き合う姿勢、仕事の所作、仕上がりへの執念。作品を生み出す過程において欠かせないすべてのことが、制作と同時に受け継がれていく。
道具の作り手としての矜持が世代を超えて交差する、効率や合理性を超えた“手仕事”ならではの素晴らしさ。そんな場所で生まれたのが、アイウェアアクセサリーブランドDIFFUSERの新作「CRAFTMANSHIP COLLECTION BOX FOR 3」だ。このプロダクトが放つ空気の密度は、職人たちの素材に対する敬意と、ひと針ごとの集中が生み出すもの。量産品では決して得られない充実感を感じていただけるだろう。
一枚革から立ち上がるシンプルな構造美
「CRAFTMANSHIP COLLECTION BOX FOR 3」と名付けられたこのレザーボックスは、「3本の眼鏡を収納する」という発想を限りなくロマンのあるかたちで実現したものだ。
最大の特徴は、一枚革で構成されていることにある。つまりこのBOX型は、一枚の革を折り畳むように作られており、展開すると紙の箱のような見た目になるのだ。
よって、構造はいたってシンプル。しかしそれゆえに、作るのには最も難しいプロダクトだと言えるだろう。
まず、このかたちの革を無駄なく切り抜くという作業に、知恵と工夫が強いられる。しかも、折り畳んだ時に高さが合うことが必須なので、カットにも、折れ線にも、コンマ1ミリ単位で気を使わなくてはならない。さらにはその折れ線にも知恵と工夫が。革の内側を、曲げやすいよう薄く削っているのだ。見えないところの細かい手仕事が、この作品全体の美しさを支えている。
ソメスサドルらしいハンドステッチについても触れておきたい。今作はミシンとハンドステッチの両方を用いて組み立てられており、四隅の90度の部分、箱を組み立てる要となる縦のステッチが、ハンドステッチに該当する。馬具メーカーらしさをたっぷりと感じられる、レザークラフトファンにはたまらないディティールなのではないだろうか。
なおコバ処理も、もちろん手作業だ。この処理の美しさを、ぜひ多くの人に見てほしい。裏側に貼られたピッグスキンには少しもかかっておらず、驚くほど丁寧な手仕事であることが分かると思う。
箱としての完璧な佇まいと、開いた瞬間に一層感じられる端正な構造美。ソメスサドルにとっても制作が難しいプロダクトであったそうだが、素晴らしい手仕事の甲斐あって、構造そのものが視覚的な詩情を携えることに成功した。
DIFFUSERの配色美学
ソメスサドルならではの構造美をご覧いただいたが、それでは今作における色彩センスはというと、DIFFUSERらしさを強く感じていただけるのではないだろうか。
外装には、ブラック、タン、ダークグリーンといったクラシックな色合いを選択。それに対して内装は、ミントグリーンやダークレッドといった鮮やかな差し色を添えている。今作「CRAFTMANSHIP COLLECTION BOX FOR 3」はミラノの展示会で高い評価を得たそうだが、それはやはり構造美だけでなく、この色彩センスによるところも大きいだろう。
この大胆で洗練された配色設計は、DIFFUSERの最も得意とするところだ。蓋を開けた瞬間、ふっと視界に広がる彩り。その意外性が、眼鏡を選ぶ行為を、収納する行為を、より特別なものにしてくれるはず。
メガネと人生をしまう箱
アイウェアを掛け替えることで、気分も装いも思いのまま変えられる。このボックスは、そんな自由を受け止める器でもある。
約20×18×5cmのサイズ感は、3本の眼鏡をしっかり収めながら、部屋の中だけでなくバッグの中でも収まりがよい。ある時は本棚に、またある時はバッグやスーツケースに忍ばせて、旅先に。無駄のない設計だからこそ、収納力がありながらもそんな自由が効くのが嬉しい。
また、上質な日本製カウレザーをたっぷりと用いて制作されているからこそ、使い込む、持ち運ぶこと自体に、楽しみを見出すことができる。この箱は共に日常を過ごすごとに味わいを増し、やがて自分の手に馴染んでくるはずだ。
そして、それはいわば一生物。ラグジュアリーブランドのバッグのように、親から子へと受け継いでいけるような懐の深さと、時を超える魅力がある。自分の人生のその先も、誰かが受け継いでくれる可能性のあるプロダクト。そんなものこそが、選ぶ価値があり、そして使う価値のある道具なのではないだろうか。
DIFFUSER × SOMÈS SADDLE
DIFFUSERとソメスサドルが手を取り合って生み出した「CRAFTMANSHIP COLLECTION BOX FOR 3」は、メガネを収めるという機能を超えて、持ち主の人生そのものに寄り添う存在だ。構造、素材、仕上げ、そして色彩。どの要素にも、使い手を想い、長く使い続けるための哲学が息づいている。
この箱は、時に時間を重ねていく伴走者。何気ない毎日も、旅に出る日も。そして、そのずっと先も。暮らしに気軽に取り入れられる美しさそのものとして、あなたと共に生きてくれるはずだ。
山田ルーナ - 文


