【MCB特集】「flavor」世界の壁を手のひらに。「磨く」を「刻む」新しいクロスのかたち
2025/09/10
MetropolitanCROSSbottleの「flavor」に、世界の壁をモチーフとした新作が登場。メッセージカードとしての側面ももつこのブランド最小サイズのクリーニングクロスに、壁の写真をプリントした理由とは?デザイナーGUSSYの考えを聞いた。
メッセージで“磨ける”新体験
MetropolitanCROSSbottleの最小シリーズ「flavor」の魅力を、まずはおさらいしたい。
「flavor」は、18cm×13cmという小さな長方形デザイン。サイズ感もさることながら、長方形というのもMetropolitanCROSSbottleでは珍しい。なお18cm×13cmというのは、ちょうど2Lの写真サイズに近い。ミュージアムショップなどで見かける大きめのポストカードにもよく採用されており、日常的に親しみを感じるサイズ感だ。
ポストカードのような親しみやすさ……「flavor」の狙いは、まさにその感覚だろう。眼鏡やスマートフォンを気軽に磨けることはもちろん、手紙のようにメッセージを添えて贈ることを、ブランドとしても推奨している。
販売方法も、土産物屋のポストカードスタンドのような専用スタンドがユニーク。どれにしようとクルクル回しながら選ぶ時間もまた楽しい。これまでにない「磨けるメッセージカード」として、新しいクロスのかたち、そして新しいメッセージカードのかたちを提示しているのだ。
定番のギフトに、自分らしさや相手らしさを表現する工夫を何か凝らしたい……そんな「プラスアルファ」の新たな選択肢として、これほどまでに魅力的な存在はないと思う。
世界の「壁」がクロスになる
先述のようにサイズ感にもこだわりを持つMetropolitanCROSSbottleだが、ブランドの代名詞といえば、やはりその鮮やかなプリントだろう。特に人気なのは、新進気鋭のアーティストと積極的にコラボレーションし、大判スクエアに大胆なデザインをのせた、アートピースのようなクリーニングクロスである。リッチなプリントが生み出す迫力は、すでに多くのファンを魅了してきた。
一方で「flavor」シリーズでは、その独特の小さなサイズを生かし、あえてシンプルで印象的な配色や、幾何学模様、テキストデザインといった作品が展開されてきた。ミニマルながらも強い存在感を放つクロスとして、注目を集めている。
ただ、そんなミニマルな意匠で展開してきた「flavor」シリーズだが、今回ご紹介する最新作は一味違う。従来の枠を超え、よりコンセプチュアルな表現へと踏み込んだのだ。今作のテーマに選ばれたのはなんと、世界中で撮影された「壁」の写真である。
レンガの質感、ペイントの剥落、あるいは誰かが残した落書きやグラフィティ……壁はいつの時代も、人々の痕跡を受け止めてきた。 散歩していて、つい壁を撮影したくなってしまうような瞬間が何度もある。それはやはり、その壁が記憶している誰かに、自分を重ねるような瞬間なのではないだろうか。
「flavor」の新作は、そんな壁をポケットに入れて持ち歩くような感覚を届けてくれるクリーニングクロスだ。さらに、そこに自由に文字や絵を書き込めば、それはもう自分だけのキャンバスとなる。
GUSSYは問いかける。「Are you バンクシー?」。まさにその言葉のとおり、このクロスは日常に小さな創作の余白を生み出してくれるだろう。
バンクシーとの対比で浮かび上がる「flavor」の壁の意義
「Are you バンクシー?」
GUSSYは、そう問いかけた。
バンクシーは、世界の壁を舞台にして政治や社会への鋭いメッセージを刻んできた、姿なきアーティストだ。今や世界中で彼の名を知らない者はいないだろう。
彼の作品は匿名性を保ちながらも、壁を「声なき者の声」として解放する役割を果たしている。
そういう意味で、MetropolitanCROSSbottleの「flavor」新作は、もっと個人的で小さな物語を壁に刻む提案だ。誰もが自分の想いや落書きをクロスに託し、日常の所作と結びつけることで、世界と自分を静かにつなげる。
バンクシーが壁を通じて社会に声を与えるのならば、「flavor」は壁を通じて、あなた自身の声を、手のひらに取り戻させてくれるプロダクトなのかもしれない。
「磨く」を「刻む」あなただけの壁の歴史
「壁」についてもう少し考えを広げてみよう。
人類は、古代の洞窟壁画から現代のグラフィティまで、常に「壁」に何かを刻んできた。壁は時に祈りの対象であり、時に抗議の場であり、また単なる遊び心のキャンバスでもあったのだ。
そして今、この小さなクロスもまた「壁」として、その歴史を受け継ぐように、何かを刻んでいく。
個人的に楽しみなのは、落書きはもちろん、磨くたびに刻まれていくであろう意図せぬ小さな痕跡だ。汚れや傷でさえ、それは人生における幾多の素晴らしい偶然のように、小さな歴史として蓄積されていくだろう。振り返った時には、あなたのクロスもまた、つい惹きつけられるあの壁のように、ストーリーをたたえた存在となるはずだ。
「語るクロス」を、あなたのための一枚に
「flavor」はサイズが小さいからこそ、贈り物に添えるのにも最適。ポストカードとして封筒に忍ばせたら最高のサプライズだし、壁の写真が添えてあるなんて、海外からのハガキみたいで粋でもある。
ただ今作は、あなたのための一枚として強くおすすめしたい。
スマートフォンや眼鏡を磨く日常の所作の中で、壁の写真がふっと現れる瞬間。磨く行為とともにメッセージが立ち上がるという新鮮な体験は、ギフトとしてだけでなく、自分用としても新しい喜びをもたらしてくれるはず。
世界の壁には、国境を越えた共通性がある。街角に残された文字や色は、匿名でありながらも確かにそこを生きた人の痕跡だ。そんな「壁」をクロスに仕立てることで、MetropolitanCROSSbottleは単なるクリーニングクロスではない「語るクロス」を生み出した。
世界の壁を手のひらに持ち歩くことで、日常の視点を、少しだけスペシャルなものに変えてみよう。……手のひらに収まる小さな布だけれど、大きな大きな可能性を秘めて。そんな発想がとてもMetropolitanCROSSbottleらしい試みだし、ファンならたまらない作品に仕上がっていると思う。
筆者も55cm角を1枚、30cm角を2枚愛用しているMetropolitanCROSSbottleファンだが、実は「flavor」にはまだ手を出していない。このサイズ感とそして集めやすい価格帯を前に、コレクションしたい気持ちを抑える自信がないからだ。
しかし、これを機に世界中の壁を集めてみようか、なんて考えている今。そうしたら、その自分だけの壁に何を描こう。今作でもMetropolitanCROSSbottleがくれる「わくわく」は、布のサイズを超えて、大きく大きく私たちを包み込んでくれそうだ。
山田ルーナ - 文


