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corner 2026SS|フレンチヴィンテージの深淵へ。新作「Drap」と新章Ascendの幕開け

corner 2026SS|フレンチヴィンテージの深淵へ。新作「Drap」と新章Ascendの幕開け

2026/02/28

世界最大級のアイウェア展示会「MIDO」での評価を経て、さらなる高みへと加速するcorner。2026SS、ブランドは新シリーズ「Ascend(アセンド)」を始動させ、これまでの表現をより高次元へと引き上げる。この飛躍の起点となるのは、やはりブランドの根幹である「探究」の積み重ねだ。新章の幕開けに際して提示される「Research」の現在地。モデル名は、Drap(ドラ)。

ミラノが認めた不変の制作哲学

cornerというブランドを語るとき、その根幹にあるのが「Research」と「Sublimation」という二つの軸だ。ヴィンテージの造形を分解・再構築するストイックな探究と、そこから得たエッセンスを現代的な解釈で昇華させる表現。この二軸が高度に融合したプロダクトは、先日ミラノで開催された世界最大級の展示会「MIDO」において、ひとつの完成形として結実した。

 

初出展という逆境の中、ブースを訪れた世界各国のバイヤーやクリエイターたちが一様に足を止めたのは、プロダクトから漂う圧倒的な密度ゆえだ。日本の職人技が宿る緻密なディテールと、フレンチヴィンテージへの深い造詣が融合したその佇まいは、言葉の壁を越えて本質を突き、モードの最前線であるミラノの地で確かな熱量をもって迎えられた。

 

こうして確かな背骨を確立したcornerは、いま次なる局面を迎えようとしている。2026SSよりラインナップに加わるのは、新シリーズ「Ascend」。ブランドはこれまでの探究と昇華を礎に、その表現領域を大きく広げていく。

黎明期の「揺らぎ」をすくい上げる、Drapの美学

しかし、表現の領域がどれほど広がろうとも、cornerの起点にあるのは常に「探究」という孤高の作業だ。だからこそ彼らは、今その純度を改めて定義し、ブランドの足元をより強固なものにする。

 

新章の幕開けにおいて、その現在地を示すために提示された「Research」シリーズ最新の解答。それが、今回ご紹介するDrapだ。

Drapのベースにあるのは、フレンチヴィンテージ黎明期のアーカイブ。メガネが単なる視力矯正器具からファッションへと昇華していく過渡期であった、1940年代から50年代。そこには、まだ洗練されきっていない、作り手たちの「試行錯誤」の痕跡が色濃く残っている。

 

実は、いま私たちがヴィンテージとして認識し、完成されたデザインとして享受しているものの多くは、長い年月と無数のマイナーチェンジを経て定着した「正解」の形だ。

 

しかし、Drapが参照したのは、その一歩手前。まだ正解が定まらず、形が揺れていた時代の、どこか不器用で生々しい造形である。

 

フロントからテンプルにかけてわずかに重心を落としたドロップ感、左右のバランスの中に潜む意図的な違和感。それらは現代のCAD設計では「エラー」として処理されてしまうような要素かもしれない。しかし、その整いすぎていない「ゆとり」こそが、このフレームに独特の色気を与えている。それは完成されたプロダクトが放つ冷徹な美しさではなく、理想の形を追い求める途中にある、熱量を帯びた美しさなのだ。

この思想は、フランス語で“布”や“シーツ”を意味する「Drap」というモデル名にも、これ以上ないほど鮮明に投影されている。

 

アパレルデザイナーが理想のシルエットを構築する際、まず最初に手に取るのが「シーチング」と呼ばれる未加工の綿布だ。それはまだ衣服ではなく、アイデアを立体化し、可能性を探るための「仮の布」。Drapは、まさにこのシーチングの概念とシンクロしているのだ。

 

すべての衣服の始まりであり、何者でもないからこそ何にでもなれる状態。Drapというフレームは、完成の手前に留まることで、メガネというプロダクトが持つ根源的な可能性を内包している。

ファインエッジに宿る、職人のプライドと緊張感

Drapの持つ「揺らぎ」や「曖昧さ」を、一つの工芸品として成立させているのが、cornerの代名詞である「ファインエッジ」という技法だ。

 

通常のメガネ製造において、切削後のフレームは「ガラ入れ」と呼ばれる回転槽に入れられ、研磨剤とともに長時間回される。これによって角が取れ、滑らかな質感になるのだが、同時にデザイナーが意図した繊細なラインやエッジの鋭さも、丸みを帯びて失われてしまう。

 

cornerは、その利便性をあえて拒む。Drapに施されたファインエッジは、機械任せの研磨では決して出せない、極めて鋭利で繊細な稜線を描いている。これを実現するために、彼らは通常よりも遥かに多い手磨きの工程をあえて追加した。

 

職人が手の感覚だけで、一本ずつ磨き上げる。線の精度と、そこに宿る美学を優先する偏執的なこだわり。その積み重ねが、Drapを単なるヴィンテージの再現から、現代の「アートピース」へと押し上げている。

昇華を超えて「Ascend」へと向かう予兆

これまでcornerが歩んできた道は、「Research」から「Sublimation」へという美しい円環の物語だった。

 

しかし2026SS、その物語には新たな章が書き加えられる。それが新シリーズ「Ascend」の始動だ。

 

「上昇」「高く上がる」「高次元へ」という意味を持つこの言葉は、これまでの探究(Research)を昇華(Sublimation)させ、その蓄積を糧にさらなる跳躍を目指すブランドの意志表明だ。

 

今季発表される「Coat(コート)」を筆頭に、今後この「Ascend」シリーズが加わることで、cornerのラインナップはより多層的に、より自由な次元へと進化していくことになる。シーズンテーマという枠組みをあえて取り払ったのも、その自由度を極限まで高め、ブランドとしてのステージを一段階引き上げるためだという。

だが、領域が広がる今だからこそ、その足元にある「Research」の重要性は増していく。土台が強固であればあるほど、その上に築かれる表現はより高く、美しくそびえ立つからだ。Drapは、次へ進むための通過点ではない。それ自体が、cornerが掲げる「終わらない問い」の現時点における解答である。

また改めて紹介することになるが、このDrapをベースにさらなるカッティングの妙を尽くしたモデルが「Sublimation」シリーズのToile(トワル)」だ。

 

同じファインエッジを採用しながらも、7mmの厚生地にファセットカットやテレビジョンカットを施すことで、Drapとは対照的なラグジュアリーな立体感へと昇華させている。

 

さらに今季、ブランドはイタリア・マツケリー社の新色「c11」をはじめとする、新たな色彩も手に入れた。これら新色や他モデルの詳細は、次稿にて改めて紐解いていきたい。

 

布(Drap)という根源的な可能性から、形(Toile)という具体的な造形美へ。そしてその先には、「Ascend」シリーズ第一号となるCoatの全貌が控えている。探究は止まらない。corner 2026SSの物語は、まだ始まったばかりだ。

山田ルーナ - 文

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