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初期の名作を再構築した、栃木レザーの新作グラスホルダー。DIFFUSER「CLOCHETTE GLASS HOLDER 2」

初期の名作を再構築した、栃木レザーの新作グラスホルダー。DIFFUSER「CLOCHETTE GLASS HOLDER 2」

2026/04/10

DIFFUSERというブランドを紐解くとき、そこにはいつも「既存の概念に対する静かなる抵抗」と「機能への誠実なアプローチ」が同居している。アイウェアアクセサリーという、ともすれば脇役になりがちなカテゴリーにおいて、彼らが提示してきたプロダクトは常に独創的であり、かつ極めて合理的だ。

 

そのラインナップの中で、ブランドのアイデンティティを最も端的に象徴するアイテムが、グラスホルダーである。この記事では過去の名作をアップデートさせた新作「CLOCHETTE GLASS HOLDER 2」をご紹介する。

旅の道具「クロシェット」から着想を得たグラスホルダー

このデザインのルーツにあるのは、クラシックな旅行鞄や高級メゾンのラゲージに付属する「クロシェット」。クロシェットとは鐘型キーケースで、19世紀から続くヨーロッパの旅の文化だ。

 

本来クロシェットは、鞄の鍵を保護し、金属同士の接触による傷を防ぐための機能的なパーツである。革のストラップの先に金属のリングを備え、それを鐘型のレザーが優しく包み込む。この「隠すことで守る」という合理的かつエレガントな仕様に着目し、アイウェアを保持するためのネックレスに応用したのが、今作だった。

多くのグラスホルダーが抱えている最大の課題は、機能に偏りすぎるその見た目にあると思う。グラスホルダーは一般的に、金属のリングが露出していることが多い。それは使いやすさにおいては利点でもあるが、ファッションの視点で見れば、その事務的な質感が全体の印象を損ねてしまうことがある。

 

そこでDIFFUSERが採用したのが、クロシェットのアイデアだ。

 

今作を首にかけるとき、胸元に見えるのは、洗練されたレザーのクロシェットのみ。それは一見すると、上質な素材感を楽しめるミニマルなネックレスにしか見えない。まさかメガネをかけるための道具であるとは誰も気がつかないだろう。

そしてメガネを外すその瞬間、初めてレザーの内側からリングを取り出す。そうしてそこにメガネをかけ、革のカバーを再びリングの上に被せる。この仕様は、リングが露出することを視覚的に避けるだけでなく、メガネのテンプルを物理的に上から押さえつけることで、グラスホルダーにありがちなメガネの落下防止も兼ね備えている。

 

装飾のためのデザインを排し、構造そのものに役割を持たせる。独創的で合理的な、とてもDIFFUSERらしいデザインだ。

日本が誇る栃木レザーのフルベジタブルタンニング

素材の選定において、DIFFUSERは常に「経年変化(エイジング)」を重視している。

 

初期モデルではしなやかなイタリアンレザーを使用していたが、第二弾にあたる今作「CLOCHETTE GLASS HOLDER 2」で、彼らはあえて日本の栃木レザーを選んだ。

 

栃木レザーは、日本が世界に誇るタンナーであり、その最大の特徴は「フルベジタブルタンニング」にある。

化学薬品であるクロムを使わず、ミモザなどの植物から抽出した天然のタンニン剤を用い、時間をかけてじっくりと鞣していく「フルベジタブルタンニング」。その工程は現代の効率化された皮革製造とは対極にあり、広大なピットに革を漬け込み、1ヶ月以上の歳月をかけて繊維の芯までタンニンを浸透させる必要がある。

 

じっくりと鞣された栃木レザーは、繊維が非常に密でコシがあり、型崩れしにくい。そして使い込むほどに、内側に含まれたオイルが表面に滲み出し、化学的なコーティングでは決して表現できない奥行きのある艶へと変化していく。

 

実は首元は、体温や湿気に晒され、時に手の脂が触れる、エイジングを促進させるには最高の環境である。新品の状態を理想とせず、使い手と共に過ごした時間の分だけ完成度が高まっていくプロダクト。DIFFUSERが栃木レザーを選んだ理由は、この「共に育つ」というプロセスを、ユーザーに最も濃厚に体験してほしかったからに他ならない。

経年変化を存分に楽しむためのカラーラインナップ

新しいカラーバリエーションも、経年変化を存分に楽しむための4色が用意された。

まず〈Black〉は、もっともストイックな選択肢。栃木レザー特有のマットな黒は、使い込むことで漆黒の輝きを放ち始める。どのような装いにも溶け込み、プロダクトの造形美を最もダイレクトに感じさせる。

 

次に〈Brown〉は、革製品の王道であり、最もレザーらしい変化を味わえる色。最初は落ち着いた茶褐色だが、数ヶ月後にはヴィンテージの家具のような、温かみのある深い飴色へと進化する。

 

〈Light Brown〉は、明るい発色が特徴的。生成りに近いトーンから、日差しや摩擦によって徐々にキャラメル色へと深まっていく過程は、レザーラバーにとって至福の体験となるだろう。

 

そして今回最も注目したい〈Blue〉。新品時は鮮やかな発色が目を引くが、栃木レザーのブルーは使い込むことで、深海のように深く、落ち着いたトーンへと変貌を遂げる。華やかさと渋さが同居する、唯一無二の経年変化を楽しんでほしい。

洗練されたスタイリングに合わせて

今作は単なる便利グッズとしてではなく、胸元を飾る洗練されたアクセサリーとして、スタイリングを楽しみたい。

 

たとえば、白のTシャツやプレーンなサマーニット、上質なシャツといったクリーンなトップスの胸元に。
レザーのクロシェットが持つ上品な光沢が、シンプルな装いに程よいアクセントとクラス感を与える。コードを少し短めに調整すれば、クロシェットが胸元の中央に収まり、都会的で洗練された印象を作ってくれるだろう。

あるいは、リネン素材のシャツや、ざっくりとした編み地のカーディガンなど、表情のある素材感のアイテムと合わせるのも楽しい。
栃木レザーの肉厚で素朴な質感は、天然素材との相性が極めて良い。ここではコードを長めに設定し、少しラフに、リラックスした雰囲気で身につけるのがおすすめだ。使い込まれた革のエイジングが、スタイルに深みを与える。

 

「また、デザインのルーツでもある旅のシーンにおいて、このグラスホルダーは真価を発揮する。
バックパックやサコッシュを背負った際にも邪魔にならず、屈んだり、激しく動いたりしても、革のカバーがメガネをしっかりとホールドするため安心。パスポートケースやトラベルウォレットなど、他の革小物と色を合わせて統一感を出すのも、洗練された旅行者のスタイルとして理想的かもしれない。

メガネという「実用品」を、いかに快適に、そして美しく持ち運ぶか。DIFFUSERの「CLOCHETTE GLASS HOLDER 2」は、その答えを、使うほどに愛着の湧く栃木レザーという素材と、独創的かつ合理的な構造によって提示している。

 

あなたの日常のスタイリングに、この小さな、しかし確実な「進化」を取り入れてみてはいかがだろうか。それは春の新生活において、きっと心強い相棒となるだろう。

山田ルーナ - 文

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