Mr.Gentleman EYEWEARの、新しい時代のオクタゴンシェイプ。【新作BERNIE】
2021/11/29
ボストンもラウンドも、ウェリントンも、さらにはクラウンパントも試してみて、なんとなくデザインを一巡した今、「個性」を求めて新たなフレームを探している…という、メガネフリークなお洒落さんに 朗報です。『ミスタージェントルマンアイウェア(Mr.Gentleman EYEWEAR)』の新作「BERNIE(バーニー)」なら、そんな気分に、ちょうど ぴったり合うかもしれない。
クラシカルな雰囲気と同時に しっかり新しさを感じるのは、『ミスタージェントルマンアイウェア』のフレームならでは。今回の記事では、この新時代のオクタゴンシェイプを、オクタゴンの歴史とともに ご紹介する。
オクタゴンシェイプと、黄金の20年代
『ミスタージェントルマンアイウェア(Mr.Gentleman EYEWEAR)』の新作「BERNIE(バーニー)」は、オクタゴンシェイプの新作アイウェアだ。
オクタゴンとは、「八角形」という意味。その種類は、辺が全て同じ長さの円形寄りのものや、長方形に近いのものなどさまざまで、この「BERNIE」は、正八角形をやや潰したようなかたちをしている。
アイウェア自体の存在感が強く、非常に特徴的なので、なかなか気軽に手出ししづらい。一本目として選ぶ方は少ないのではないだろうか。「お洒落上級者」なイメージが定着しているフレームのひとつと言えるだろう。
オクタゴンシェイプのメガネが広まったのは、1920年代のこと。1920年代といえば、「アールデコ」という装飾様式が流行った時代である。当時ファッション界の中心にはココ・シャネルがいて、リトル・ブラック・ドレスやN°5の香りを発表し、世の女性たちを魅了していた。
アメリカやヨーロッパにおける この時代は、「黄金の20年代」と呼ばれる。景気がよく、ファッションを楽しむ者が増え、また若者を中心にジャズが流行した。人々は男女問わずより自由を求め、そのファッションには 政治への反発や、既成概念を壊したいという欲求も表れていた。
オクタゴンシェイプは、そんな時代に生まれたデザインだ。
これまでとは違う、新しい風。自由の主張。そういうものが、この八角形に込められている。
実際、リベラルな(自由主義的)人のあいだで、このアイウェアは広まり始めたそうだ。新しい時代を見据える人々は、定番だったラウンドメガネを外し、オクタゴンメガネをかけた。
皆さんご経験があるだろうが、メガネが変わると、人の顔は本当に違って見える。オクタゴンシェイプの登場により、当時の街の人々の表情はきっと、さぞ魅力的に変化しただろう。
そう想像するだけで、なんだかちょっと勇気づけられる気がするのは、筆者だけではないはずだ。
今取り入れたいアールデコの雰囲気
先に少しご説明したが、オクタゴンシェイプのメガネが広まった1920年代は、「アールデコ」という装飾様式が流行った時代である。
オクタゴンの魅力を語る上で、この「アールデコ」についても少し触れておきたい。
「アールデコ」とは、1910年代半ばから1930年代にかけて、流行し、発展した装飾様式だ。第一次世界大戦後の1920年代は、いわゆるバブルな時代。人々はより感覚的で明快なものを求め、その流れは 建築やファッションなどに大きく影響した。時は大量生産真っ盛り。大衆的なものが受け入れられていたこともあり、より機能的・直線的な、シンプルなスタイルとして誕生したのだ。その少し前に興った「アールヌーボー」の装飾的・曲線的な表現を思うと、「アールデコ」の斬新さがよく分かるだろう。
ちなみに この「アールデコ」という呼び名は、1925年のパリ万国博覧会の正式名称(現代装飾芸術・工業美術国際博覧会 Exposition Internationale des Arts Décoratifs et Industriels Modernes)からきている。
しかし、実はパリではそこまで浸透せず、むしろアメリカで、広く受け入れられたそうだ。有名なところだと、ニューヨーク/マンハッタンの エンパイヤー・ステート・ビル、クライスラー・ビル、ロックフェラー・センターなどの建築物やその内装が、「アールデコ」のスタイルによるものである。
少し脱線したが、オクタゴンシェイプは、まさに「アールデコ」的デザインだ。
潔い八角形は、シンプルで明快。8辺の直線は、自由なイメージを人に与える。
アイウェアは、より身近な鎧という意味でも、自らの意思表示に大切な存在だったりする。
活気付いていたあの時代の人々が取り入れていた「アールデコ」の空気を、今の時代だからこそ味わいたい。このコロナ禍で、なかなか代わり映えしない毎日ではあるけれど、だからこそ より自由な新しい未来のために、小さな風穴を開ける存在として、オクタゴンシェイプは良い選択肢なのではないだろうか。
新しい時代のオクタゴンシェイプ
ここまでオクタゴンシェイプの歴史と「アールデコ」について触れたが、やはり新作「BERNIE(バーニー)」は、『ミスタージェントルマンアイウェア(Mr.Gentleman EYEWEAR)』だからこその面白さがあるように思う。
まず、4点留めブリッジ。
「BERNIE」は、リムをつなぐブリッジが4点で留まっている。一見派手な印象を受けるが、ここが4点だからこそフロントの特徴的なデザインに一体感が生まれ、かえって全体の雰囲気を柔らかく仕上げているのだ。直線的なオクタゴンと、やや曲線的なブリッジ。こういうバランス感覚は、まさに『ミスタージェントルマンアイウェア』らしい特長である。
また、それぞれのカラーリングと、インナーリムの仕様もすてきだ。
「BERNIE」は、4色展開。今の最先端の技術を活かし、アセテートの色味と、チタンの質感と、絶妙なところを押さえている。これは、オクタゴンシェイプが流行った1920年代の「アールデコ」な時代には、100%なかったものだろう。
クラシックな雰囲気をほのかに残しつつ、しっかりと、今できる最高のものを作る。この姿勢こそ、『ミスタージェントルマンアイウェア』なのだ。
そしてなんとこの「BERNIE」は、インナーリムの取り外し(※1)が可能。インナーリムを外せば、より華奢な見た目になり、オーソドックスな印象を受ける。気分や年齢による見た目の変化とともに、色々と試してみるのも楽しそうだ。当時オクタゴンシェイプを好んだようなリベラルな層にとどまらず、コンサバな方々にも手に取っていただきやすいように思う。
(※1 インナーリムを外す場合、レンズの交換が必要です)
話が逸れるようだが、昨年末から「風の時代」という新しい時代が訪れたらしい。筆者は占いをすごく信じる方ではないが、この新しいオクタゴンシェイプを見ていて、ふと、そのことを思い出した。
これからは、ものに縛られない生き方や型にはまらない価値観が良しとされ、より自由で多様性に富んだ世の中がやってくるという。思い返せば、1920年代当時、第一次世界大戦後の人々は、それに似た世界に憧れを持っていたんじゃないだろうか。自由に憧れ、ファッションで、デザインで、その権利を主張していたんじゃないだろうか。
今を生きる私たちは、当時より恵まれた環境で、これからさらに、新しい世界を見ることができる。
トレンドを先読みしたような 新しい時代のオクタゴンシェイプのメガネで、これから先の世界を見ていくのも、良いかもしれない。
山田ルーナ - 文