「育てる」喜びを、ひっそり味わう。男心くすぐられるディフューザーのマルチメガネケース
2021/12/13
「育てる」の話を、筆者はよく男性の友人から聞く。
それは生き物や植物でなく、物を育てる話だ。つまり、デニムや帆布、革などを、育てる。よく使い、必要なケアを重ねて育てることで、いわゆる「経年変化」を味わうということらしい。
例えばデニム。彼らは洗い方や履き方を工夫し、自分だけの"アタリ"をどう作っていくかを楽しむ。
レザーシューズやバッグ、革小物の毎日の手入れは至福の時間だ。艶が増し自分に馴染んでいく過程を、手と目で 日々味わう。
そして、帆布のトート。分厚く硬い生地が、使い込むほどに柔らかくなっていく。色も徐々に褪せていき、だけどそんな様子がカッコいい。
そこに共に時を過ごした証を見るのか、愛着か、はたまた使い込んだ先のビンテージのような雰囲気が好きだからか、「育てる」ことを楽しむ理由はそれぞれだろう。
しかしとにかく、彼らは人生の趣味のようにして、「育てる」を楽しむのだ。
そしてこういう趣味をもつ人は、やはり女性より男性の方が割合的に多いように感じる。
このようなことを言われた経験、ないだろうか?
「そんなに沢山デニム持っているけど、何が違うの?」
「革靴のケアに一体何時間かかるの?」
「そのトートバッグ、なんだかボロボロだから捨てたら?」
…書いていて悲しくなってきたが、そんなふうに思う女性はきっと多いはずだ。まあ趣味は人それぞれなので、異なる嗜好をもつ方に、なかなか全部を受け入れてもらえることは難しい。デニムや革靴、帆布のトートバッグは物自体も大きいので、パートナーの怒りの目に触れてしまうこともしばしばだろう。
そこで、そんな何かを「育てる」ことを 趣味とする方におすすめしたい。
小さなボディに「育てる」喜びがぎゅっと詰まったメガネケースを、〈DIFFUSER(ディフューザー)〉で見つけた。
経年変化が楽しい、帆布×ヌメ革
今回ご紹介するのは、東京のアイウェアアクセサリーブランド〈DIFFUSER(ディフューザー)〉の新作メガネケース『COTTON CANVAS MULTI CASE』だ。アイテム名のとおり、その素材は「コットンキャンバス」。つまり帆布生地を商品に採用している。
帆布生地によるアイウェアアクセサリーは、実は〈DIFFUSER〉では珍しくない。デザイナーの広瀬雅規氏が、その「丈夫さ」「変化の面白さ」に以前から目をつけていて、ブランドのかなり早い時期から展開をしていたのだ。
〈DIFFUSER〉のアイウェアアクセサリーの帆布は、「ジーンズの聖地/繊維のまち」がある岡山県の倉敷市で買い付けている。その滑らかな帆布には控えめな光沢さえあり、素材のもつカジュアルなイメージを良い意味で裏切るような、上品な印象が面白い。しかし触り心地は、やはり帆布。使い込めば色は褪せてくるし、生地は馴染んで柔らかくなるのだ。この対比が、なんとも魅力的。「育てる」ことを楽しみとする人にとって、こんなにぴったりの素材はないだろう。
そしてもうひとつ触れておきたいのが、パイピングと紐に用いられたヌメ革である。
ヌメ革というのは、タンニン鞣しされた皮革のこと。自然原料により時間をかけて鞣されるので、革本来の温かみを感じられると同時に、繊維が締まっていて非常に丈夫な素材だ。
しかし最大の特徴は、何よりその派手なエイジング。手の脂、熱、環境、太陽の光。さまざまな影響を受け、はじめのまっさらな面影を忘れるほどに、ヌメ革は艶のある深い色へと変化する。経年変化フェチにとってヌメ革という素材は、垂涎ものなんじゃないだろうか。
そんな帆布×ヌメ革によるメガネケースが、この『COTTON CANVAS MULTI CASE』なのだ。
今、綺麗な帆布とまっさらなヌメ革で、ちょっとよそよそしい雰囲気のこのメガネケースは、あっという間に唯一無二の表情を身につける。そしてその時にはもう、自分にとって替えのきかない存在になっているだろう。
レザーシューズやトートバッグに比べれば小さなアイテムなので、革にオイルを塗ったり、たまに洗ったり、そんな時間を思いきり楽しんでも、きっと家族からのお咎めなし。
それに、メガネケースという毎日持つことができるアイテムだからこそ、その変化をより身近に感じることができそうだ。
ロールバッグ型マルチケース
〈DIFFUSER(ディフューザー)〉のアイテムの魅力のひとつに、さまざまな使い方ができるという点がある。
このメガネケースの名前も、『COTTON CANVAS MULTI CASE』。アイウェアケースとは書かれていない。
「ロールバッグ」をご存知だろうか。
工具を差し込んで、くるくるっと丸めて収納するタイプの、布製工具入れのことである。
この『COTTON CANVAS MULTI CASE』のデザインソースは、実は、この「ロールバッグ」だ。
デザイナー広瀬氏は、よくこんなことを言う。
「用途がひとつだけなんてナンセンスだ」…つまり、ブランド側で用途を限定したくない、というのである。
だからこそ、デザインの幅がとても広い。
普通、アイウェアケースを作ろうと思って、工具入れを参考にするだろうか?
多分、そんなブランドは他にはないはずだ。
こういう突拍子もなさというか、発想の豊かさというか。そういうところが〈DIFFUSER〉が多くのファンをもつ理由なのだと思う。
だから『COTTON CANVAS MULTI CASE』は、その名のとおりマルチケースだ。
アイウェアを入れるようにと、〈DIFFUSER〉は限定していない。だけどもちろん、アイウェアアクセサリーブランドとして、アイウェアをしっかり保護できるようにデザインされてもいる。
「ロールバッグ」ならではの内側の折り返しで、逆さにしてもアイウェアがスルッと落ちないようにしているし、ウレタン材を生地の間に挟み、衝撃に耐えるように工夫している。
アイウェア以外にも使える。
だけど、アイウェアアクセサリーとして一切の妥協はない。
そこが、「用途がひとつだけなんてナンセンスだ」と言い切る〈DIFFUSER〉の自信であり、誇りなのだろう。
あなたや誰かの毎日に、「育てる」という喜びを
筆者はバッグの中に、常にペンと小さなメモ帳を忍ばせているのだけれど、それらをこの『COTTON CANVAS MULTI CASE』に入れるのもありかもしれない。
「あれ?どこいったっけ?」を、スマートに解消する。出先で物を書くときも、ここから出したらすごくカッコいいだろう。
というか、なんでも入れていいのだ。
サングラスや伊達メガネ、老眼鏡、ペン、時計、メモ帳。なんでも。
〈DIFFUSER(ディフューザー)〉が考えるのは、それがあなたの毎日に欠かせないものであるか、ということだけ。
願わくば、毎日使うものを入れて、毎日持ち運んで。
育っていく過程を身近に楽しむことで、日常にささやかな喜びを添えていただきたい。
最後になるが、『COTTON CANVAS MULTI CASE』は東京の下町の鞄職人により、1点1点丁寧に手仕事で仕上げられている。
高い技術力で細部までこだわり抜かれたアイウェアケース。見えないところの処理だとか、高い技術力でこだわり抜かれた細部はきっと、実際に手に取っていただかなくては感じていただけないかもしれないが、どうぞ信頼してほしい。
マルチなメガネケースだからこそ、購入時に用途が決まっていなくても大丈夫。
このギフトシーズン、誰かへの贈り物にもぴったりだろう。
〈DIFFUSER〉のアイウェアケースは間違いない。今回の新作も、そう自信を持ってご紹介できるようなアイテムだった。
山田ルーナ - 文