一目で「良い」と分かるもの。 - Mr.Gentleman EYEWEAR新作ブロウタイプアイウェア
2023/09/10
今回も引き続き『Mr.Gentleman EYEWEAR(ミスタージェントルマンアイウェア)』の新作をご紹介する。全6モデルの新作から最後に取り上げるのは、「DOUGLAS」と「KEVIN」という2型のブロウタイプ。ブロウタイプのアイウェアはファッション好きな方から根強い人気があるが、その形について改めて解説すると共に、『Mr.Gentleman EYEWEAR』のブロウタイプならではのこだわりについて触れたい。
ブロウタイプメガネって?
『Mr.Gentleman EYEWEAR』の新作「DOUGLAS」と「KEVIN」は、ブロウタイプのアイウェアだ。まずはブロウタイプというのがどのような種類のメガネなのかについてご紹介しよう。
ブロウタイプとは、メガネのフロント上部が眉毛(blow)のように太くなっているデザインのこと。1950年代に、あるアメリカ軍将校の考案により作られたものだ。このアメリカ軍将校は自身の眉が薄いことに悩んでいて、この問題を解決してくれるようなデザインのメガネを探していた。そうして生まれたのが、このブロウタイプメガネなのである。彼はこのメガネを掛け、眉毛にあたる部分の存在感に、さぞ満足したに違いない。目元はキリッとし、これまでよりも知的に見えたはずだ。
現代においては、この誕生のきっかけと同じく眉毛の悩みを解決してくれるのはもちろんのこと、1950年代のデザインならではのクラシックな雰囲気を楽しむこともできる。その知的で大人っぽい印象は、男女問わず、スタイリングを引き締めてくれるようなエッセンスとなるだろう。
Mr.Gentleman EYEWEARのこれまでのブロウタイプ。ツインブリッジシリーズからも
今作以前にも『Mr.Gentleman EYEWEAR』ではブロウタイプのメガネを展開してきた。2022年の秋冬に発表されたツインブリッジシリーズの「ETHAN」「MAVERICK」もそれにあたる。
しかしこの2型、ブロウタイプと思うとちょっと違和感がないだろうか?その違和感の理由はおそらく素材にある。
ブロウタイプのメガネはどのブランドでも通常、基本的な骨組みをメタル、眉毛にあたる部分をセルと、コンビネーションで表現されることが多い。というのも、その方がこのデザインの面白さをより引き立たせることができるからだ。そんなブロウタイプっぽさをあえて逆手にとったのが「ETHAN」「MAVERICK」。あえて華奢な線で表現されたブロウラインは緩やかに流れる曲線が美しく、とても優雅な見た目だ。珍しいアプローチのブロウタイプと言えるだろう。
そういう点では、今作「DOUGLAS」「KEVIN」はザ・ブロウタイプ。「ETHAN」「MAVERICK」とは全く別アプローチのブロウタイプである。
しかし「ETHAN」「MAVERICK」に比べてデザイン性が乏しいということは、一切ない。王道を突き詰めてもなおブランドらしい魅力が込められた今作「DOUGLAS」「KEVIN」を、写真と共に見てみよう。
|DOUGLAS(Mr.Gentleman EYEWEAR)
|KEVIN(Mr.Gentleman EYEWEAR)
ジェントルマンならでは〈玄人好みするブロウタイプ〉
『Mr.Gentleman EYEWEAR』の新作「DOUGLAS」「KEVIN」を一言で表現するとしたら、〈玄人好みするブロウタイプ〉だ。王道ブロウタイプでありながら、細部へのこだわりでその魅力を唯一無二のものにしている。
例えば、フロントのブリッジ部分。ブロウタイプのアイウェアは通常レンズ部分のみ上部の素材が切り替わっていて、ブリッジの部分はメタル素材のものが多いが、今作はフロント上部が全て繋がるようにデザインされている。個人的にはこのデザインの方がよりモダンに見える気がするのだが、いかがだろうか。クラシックに寄りすぎない絶妙なバランス感覚で、現代のお洒落に取り入れやすい仕上がりとなっている。
また、セルの先がブロウ部分と同素材になっているのもポイントだ。このさりげない統一感は、大人の余裕のようなものを演出できる気がする。
これらの素材選びにも『Mr.Gentleman EYEWEAR』の美学が生きている。デザイナーの高根氏曰く「あえてシックな素材選び」。珍しい生地を期待していた方もいるかもしれないが、あえて質感を楽しめるようなおとなしいカラーをチョイスしたのだそうだ。派手さはないが、どれも程よく自分らしさを演出できそうなカラー。そこには「良さが純粋に伝わるもの」を作ろうとする高根氏の願いがあった。
そこにあるだけで『良い』と分かるもの
「良さが純粋に伝わるもの」……それは「そこにあるだけで『良い』と分かるもの」ということだ。つまり、ただ単純に「良いものだ」という感想が生まれるということ。「お洒落」でも「カッコいい」でもなく、まず「良いもの」。そんな純粋な感動を生むために、デザイナー高根氏はデザインの細部にこだわった。
先ほどお話しした一本に繋がるブロウラインデザインもそうだが、例えばセル彫りの部分。メイドインジャパンならではのこういった細かな処理はブランドの得意とするところだが、このデザインにより、派手さとは別の上品な「違い」を表現できているように思う。
今作「DOUGLAS」「KEVIN」は、ぽいっとテーブルに置かれていても、きっと素敵だと思えるアイウェアだ。なんだか気になる。なんだか素敵……。「お洒落」や「カッコいい」などの派手な感覚より先に、このアイウェアは「確かに良いもの」ならではの安心感を与えてくれる。もちろん掛け心地も抜群。ブランドの代名詞のようなその掛け心地、身につけた時のストレスのなさを、ぜひ今作でも味わっていただけたらと思う。
丸みのある「DOUGLAS」スクエアの「KEVIN」
最後に2型それぞれのレンズの形状について触れておきたい。
ご紹介してきた新作はご存知のとおりどちらも同じブロウデザインを用いているが、レンズの形状が異なる。「DOUGLAS」は丸型で、「KEVIN」は角形。かなり印象が変わるので、注意して選びたい。
好みに応じて選んでももちろん素敵だが、顔の形状で決めるのもおすすめだ。
例えば面長の方は、ラウンドタイプ。ほっそりとした輪郭がシャープな印象を与えるので、アイウェアで柔らかさを足すとバランスがとりやすい。
丸顔の方には、スクエアタイプを。面長さんに比べ横の比率が高く柔らかい雰囲気なので、スクエアタイプで直線を取り入れて、キリッと整えたい。
玄人好みのブロウタイプ「DOUGLAS」「KEVIN」をご紹介した。ただそこに置いておいたときの抜群の雰囲気を、ふとした時に楽しみたい。そしてサッと身につけ、キリッとした知的な目元を携えて、また新しく良い一日を過ごそう。
山田ルーナ - 文