ジョイエブリタイム株式会社

cornerアイウェア「Locked Hands」「Decadence」さらに磨きにこだわって再入荷

cornerアイウェア「Locked Hands」「Decadence」さらに磨きにこだわって再入荷

2024/08/10

福岡のアイウェアブランド『corner』のファーストモデル「Locked Hands」「Decadence」が再入荷した。工場と長い時間をかけて妥協を許さずにつくったという再入荷にあたっての裏話を通じて、『corner』のもつ独自性を紐解いてみたい。

corner - デザインの曲がり角

「デザインの曲がり角」をテーマに感度の高いアイウェアを展開する、福岡のアイウェアブランド『corner』。2023年秋のローンチ以降ファッション感度の高い層からの人気を集めており、国内外に取り扱い店舗を増やしているそうだ。

 

『corner』の展開モデルは、2つのシリーズで構成されている。研究を意味する【Research】と、昇華を意味する【Sublimation】。興味深いのはこれらシリーズ同士の関係性である。

 

実は2つのシリーズ【Research】と【Sublimation】は、独立しているわけではない。【Research】と【Sublimation】は、どのモデルも、それぞれ同じヴィンテージアイウェアをベースに製作しているのだ。つまり1型のヴィンテージアイウェアをベースに、2型ずつ展開していることになる。ヴィンテージアイウェアを徹底的に追求し、現代の技術を用いて復刻した【Research】と、再解釈してオリジナルのデザインに昇華させた【Sublimation】。これらは見た目こそ違えど、言うなれば対となるモデルなのだ。

 

アイウェアブランドは数多く存在するが、このようなコンセプトを一過性のものではなく継続的に持ち続けて商品展開を続けるアイウェアブランドは、おそらく『corner』くらいだろう。彼らはヴィンテージアイウェアというモチーフを通じて「デザインとは何か?」という普遍的な問いを私たちに投げかけている。

【Research】シリーズの「Locked Hands」「Decadence」

今回再入荷されたのは「Locked Hands」と「Decadence」。いずれも【Research】シリーズのモデルである。

|Locked Hands(corner)

|Decadence(corner)

追求した『Lockerd Hands』昇華させた『Debby』

「POTATO MEGANE FUKUOKA」にて、発表前の『Locked Hands』と『Debby』を見せていただいた。洒落た店内の一角に並べられた「<orner」のコレクションは、名だたるアイウェアブランドと同じ空間にあっても引けを取らない。

「Locked Hands」の元となっているのは、伝説のJAZZピアニスト、ビル・エヴァンス(Bill Evans)が着用していたフレーム。この「Locked Hands」というモデル名は、ビル・エヴァンスが多用したブロックコードの一種であるロックハンズテクニックから命名されている。

「Decadence」は、フレンチヴィンテージをベースとしたモデル。19世紀フランスのアーティスト一派を「デカダンス」と呼ぶことからこの名が付けられた。芸術至上主義的な彼らの概念「芸術のための芸術」という言葉が示すように、実用的な機能から切り離された真のデザインを追求するフレームである。

どちらも【Research】シリーズのモデルなので、それぞれインスピレーションの源となるヴィンテージアイウェアを追求・復刻しているわけだが、そもそもその魅力ってなんだろう?ヴィンテージアイウェアに似せたアイウェア、というだけならばブランドにこだわる必要はない気がするが、何故『corner』の【Research】シリーズは支持されているのだろうか。

 

私は昨年『corner』のデザイナー山本真一路さんを取材させていただき、各シリーズのこだわりについて伺ったのだが、【Research】シリーズについて印象に残っている言葉がある。FEATURE記事「曲がり角の向こうへ!cornerが提案するヴィンテージメガネの新たな魅力」より、以下に引用したい。

 

「ただ単にトレースするだけでは意味がないと考えています。特に【Research】シリーズにおいては強くこだわっていますね。ヴィンテージメガネの風合いを現代に取り入れるには全く同じものを作っても意味がないので、絶妙な調整を随所に盛り込むようにしています」

 

絶妙な調整を随所に盛り込む」というのはどういうことだろう。今回の再入荷でも、この「絶妙な調整」ゆえに長い時間をかけたそうだ。【Research】シリーズの魅力をもう一歩深く理解するため、再入荷の裏話を聞いた。

cornerの品質向上に対する強い意識

今回の「Locked Hands」と「Decadence」の再入荷は、実は当初の予定より納期が遅れている。テンプルの芯ズレが起こって全部やり直したために、時間がかかってしまったのだそうだ。

 

工場としても大変難しい作業だったため、現場監督からは「やり直ししても同じ結果になるのでは」とも懸念されたそうだが、連日監督や職人らと話し合いを重ね、お互いの向上心と方向性を擦り合わせることでテンプル再製造が行われた。

 

また、磨きという作業も『corner』においては非常に重要な工程であるが、今回の再入荷ではより高いクオリティを目指すため最終磨きの工程をプラス。そしてこれには工場のライン編成の再構成までもが必要とされ、工場監督からは「何十年やってきた中でここまでするのは初めて」と言われたそうだ。なお磨きに関しては工場だけでなく、『corner』事務所内でも磨き専門員を動員し、追い磨きを行っている。

 

磨く工程をこれほどまでに大切にしているのは、品質向上に対する強い意識があるからに他ならない。実際『corner』のフレームには、一般的な時間の3倍ほどの時間をかけて磨くものも珍しくない。運搬時に擦れてついた小傷を取るのはもちろんだが、磨き工程を増やすことで、『corner』が求める独特の艶感が叶うのである。

職人へのリスペクトと、これから

言うなればイレギュラーな作業変更に対応してもらえたのは、現場監督と職人との間に信頼関係があったから。山本さんは、メガネ作りにおいては人間関係と信頼が何より大切なのだと話す。

 

「専門的な知識が増えていくほどに、職人さんへのリスペクトが増しています。アイウェア業界を高いクオリティで持続させていくために、cornerもまた、職人を守っていけるような存在になれたらいいですね」

メガネ業界は価格の高騰にシビアで、特に工賃に対する値上げにはあまり寛容ではない。『corner』では自社で負担できる作業は負担するなどして、大幅な値上げは行わず、工場の利益も確保したまま、クオリティを上げていけるよう工夫している。

 

「後継者不足と職人の高齢化でメガネ工場もどんどん減っていますが、若い人たちに職人への憧れを持ってもらえたら」

 

この度の「Locked Hands」と「Decadence」の再入荷は、まさにそのような想いの結晶なのではないだろうか。山本さんは自身のことを「メガネ作りを通じて成長させていただいていると同時に、人としてまだまだだと痛感しています」と話したが、おそらく山本さんが職人たちを信頼しリスペクトしているように、職人が山本さんをはじめ『corner』スタッフを信頼していなければ、このクオリティを実現することは出来なかっただろう。もちろん彼らを繋ぐ現場監督も重要な人間関係の一つだ。

人間関係が何よりも大切と、山本さんは語った。かつて誰かがこだわって生み出し、そのデザインと使い勝手を愛し、今日まで続いてきたヴィンテージアイウェアのデザインを、現代の人間が力を合わせて復刻する。その妥協なき姿勢は、新しいヴィンテージとなって、この先に続いていくだろう。

山田ルーナ - 文

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