今を楽しめ!メキシコの「死者の日」をデザインに落とし込んだクリーニングクロス。PLUGMAN × MetropolitanCROSSbottle
2022/09/20
大人気『MetropolitanCROSSbottle(メトロポリタンクロスボトル)』の新作コラボレーションアイテムをご紹介。今回はデザイナーPLUGMAN(プラグマン)の「ハンガリースカル」というデザインを用いた、30cm角のクリーニングクロスだ。スカルをメインモチーフにしつつ、そのデザインはとてもカラフルで楽しげ。どこかの国の民藝品のような温かみさえ感じられる。その秘密は何なのだろうか?謎に包まれたデザイナーとこのコラボレーションについて、ちょっと考察してみたい。
コラボデザイナー・PLUGMANって?
まずはデザイナーPLUGMANについてご紹介しよう。いや、ご紹介しようと言いつつ、その存在は謎に包まれている。以下は『MetropolitanCROSSbottle』公式サイトに載っていた説明文だ。
2016年から活動。 「自分のイメージを投影した現実世界の拡張表現」を題材にさまざまな手法でアートワーク制作を行う。
その多くはそれぞれ独立した主題をもっているが、他の作品とリンクする部分が存在する。
いわば1人で完結するシェアードワールドとなっている
1人で完結するシェアードワールド……。うん、なかなか難しい。
そこで、もう少し手がかりが欲しくてPLUGMAN氏のSNSを覗いてみると、デザインの背景にあるもののヒントが見えてきた。
印象的だったのは、2021年8月16日のポスト。
”福運を招く”という意味が込められた指輪「倒福リング」の販売を開始した際のポストで、PLUGMAN氏はこんなことを話していた。
個人的には、終戦記念日に出したかったのでなんとか間に合ってよかったなという感じです。
僕は長崎出身なので、戦争を知らない子供達の中でもいくらか戦争に対して感じるものを持って育ってきた方だと思います。
今日という日をキッカケにして、多くの人が明日を生きる為に踏み出しました。
幸福を手にする為に努力を始めた日だと思っています。
ただの縁起担ぎみたいなもんですが、そんな日に幸せを呼べると信じれるようなモノを出したかった。
ただそれだけです。(引用:@plugman404)
このポストを通じて筆者がPLUGMAN氏について感じたのは、この人が理想の世界に向けて…ひょっとすると世界平和のような大きな目標に向けて、静かに、ひっそりと、向き合っている人だということだ。
そういうある種の思想のようなものを、PLUGMAN氏のデザインからは受け取ることができる。
今回の「ハンガリースカル」にもきっと、静かな願いが込められているに違いない。
次にこのコラボレーションアイテムについて詳細をチェックしていきたい。
死者の日をデザインに落とし込んだ「ハンガリースカル」
「ハンガリースカル」は、PLUGMAN氏がこれまでにも様々なアイテムで展開してきたデザインだ。自身もお気に入りなのだそう。。
デザインコンセプトは、どこかの国の民藝品。ハンガリーを代表する「マチョー刺繍」のフラットで華やかなイメージを下敷きとして、モチーフにはメキシコの「死者の日」を落とし込んだ。
死者の日というものをご存知だろうか。
11月1日〜2日の2日間、あるいは10月31日〜11月2日の3日間で行われるメキシコの伝統的な行事。この日程は祝日にあたり、学校や職場など、ほとんどの人が休みになる。
死者の日というだけあり、これらは死んだ者たちの魂を迎えるための日だ。
日本でいうお盆に感覚としては近いのかもしれない。
それは、悲しい行事ではない。
亡き人を想い涙を流すのではなく、むしろ生前の様々な思い出を共有することで、家族の絆を深めるための日……。日本のお盆と同じように地域や家庭によってスタイルの違いはあるが、明るい雰囲気と楽しい会話の中に死者を迎え入れ、家族団らんの時間をもうけることこそが、死者の日の本当の目的なのだ。
これを知ってからデザインを見ると、その雰囲気に改めてグッとくる。
スカルを囲むように散りばめられたカラフルな楽器や花を見ていると、賑やかな音楽や楽しい会話が聞こえてくるよう。スカル、そして死というモチーフながら、きわめてハッピーなデザインなのだ。
そして筆者はこれを見ていて、ある一つの言葉を思い出していた。
メメント・モリの精神を取り入れて
ここからは筆者の想像なのだが、このデザインには「メメント・モリ」というメッセージが隠されているのではないだろうか。
メメント・モリ(memento mori)とは、ラテン語で「自分が(いつか)必ず死ぬことを忘れるな」「死を想え」という意味の警句。芸術作品のモチーフとしても広く使われている。
身分や貧富の差なく、生きている者すべてに等しく訪れる死。…この避けることのできない死を意識することで今この瞬間をより大切に生きることができる、というのが、現代においてこの言葉が用いられる際の主な意味だ。
かのスティーブ・ジョブズも、この精神を大切にしていたと話している。死を前にしてプライドや不安はない。この事実は、何か重要な決断を下すときにも役立つだろう。
さて、コラボレーションクロスの話に戻ろう。
このデザインからは、まさにそんなメッセージを感じることができないだろうか。
真ん中に大きく描かれたスカルは「いつか死ぬ」という事実を思い出させてくれる。
だから我々は皆、食べて飲み、そして陽気に今を過ごすのだ。
…おそらく似た思想のもと、ホラティウスという古代ローマの詩人は「カルペ・ディエム(その日を摘め / 今を楽しめ)」という言葉を残している。彼の詩はこうだ。
「Nunc est bibendum, nunc pede libero pulsanda tellus.」
(今は飲むべきだ、今は気ままに大地を踏み鳴らすべきだ)
メメント・モリとカルペ・ディエムはしばし対義語として表現されるが、実のところこれは背中合わせの言葉なのではないかと私は思う。それは多分、このクリーニングクロスが、白と黒と背中合わせになっているように。同じ風景に、昼と夜と2つの表情があるように……。
「死者の日」をデザインに落とし込んだこのクリーニングクロスを眺めていたら、「今を楽しめ」という精神にまで想像が及んでしまった。ずいぶん遠くまで考えが広がった気がするが、そんな思考の時間もまた、この不思議なデザインを生み出したPLUGMAN氏の狙いなのかもしれない。
あなたの今に、新しいワクワクを
『MetropolitanCROSSbottle』の新しいクリーニングクロスをご紹介した。
デザインにフォーカスしたが、もちろんその使い心地はお墨付き。やや小ぶりな30cm角のサイズ感は日常使いしやすく、この華やかなデザインとも相性良く仕上がっている。
私たちの日常に、また新しいワクワクを取り入れてみよう。
そして考えよう。
あなたも私もいつか死ぬ。それじゃあ、今をどう生きる?
・MCB315 / PLUGMAN / parade
サイズ:30cm×30cm
素材:ポリエステル80% ナイロン20%
1枚生地 / アートファブリック
¥2,860(税込)
コラボレーションアーティスト:PLUGMAN(Instagram - @plugman404)
関連記事はこちら
・「磨く」というエンターテインメント。MetropolitanCROSSbottleデザイナーインタビュー|前半
・わくわくこそ、こたえ。MetropolitanCROSSbottleデザイナーインタビュー|後半
・Mr.Gentleman EYEWEAR10周年記念メガネクロス。MetropolitanCROSSbottleの特別な30cmx30cm
・「UNCOOL IS COOL. 」なクロスはいかが?PUNK DRUNKERS × MetropolitanCROSSbottle
・アメコミ調のポップでロックなクリーニングクロス。KINICHI × MetropolitanCROSSbottle
山田ルーナ - 文