水墨画を表現したジャパニーズモダンなシルクのグラスコード。DIFFUSERアイウェアアクセサリー
2023/05/10
前回に続き、東京発のアイウェアアクセサリーブランド DIFFUSER(ディフューザー)より2023SSの新作をご紹介する。今回はブランドの代名詞でもあるグラスコードから、贅沢なシルク糸による「SILK SUMI GLASS CODE」を取り上げたい。このシルクのグラスコードは、デザイナーである広瀬氏がとことん考え抜いて作り上げたこだわりの一品。美しいから身につけたい、心地いいから身につけたい……そんなふうに、上質なお洋服を手に取るときのような気持ちで使いたくなる、スペシャルなファッションアイテムだ。
神秘的な水墨画の濃淡を、一本の糸に込めて
このグラスコード「SILK SUMI GLASS CODE」のデザインインスピレーションは、水墨画。水墨画とは、中国で生まれ日本でも馴染み深い、墨の濃淡を利用して描いた繊細な芸術表現である。
デザイナーの広瀬氏は、あの濃淡・明暗の美しさを、グラスコードという一本の糸で表現したかったのだそうだ。確かに現物を見ると、その一定ではない色合いが、なんとも奥行きのある雰囲気を作っている。
しかしこのデザインイメージは、決して楽ではなかったのだそう。次に、素材であるシルクと、そのシルクによってどのような方法で墨絵を表現したのかを、詳しくご紹介したい。
独自の配合によるオリジナルのシルク紐
アイウェアブランドDIFFUSERが展開するグラスコードは、オリジナル紐を用いて作られているモデルが多い。染色や編み方など、糸からこだわって独自に表現される紐たち。これはDIFFUSERグラスコードのかなり大きな特徴だ。
これはファッションブランドとしても非常に珍しいことで、ましてアイウェアアクセサリーにおいてここまでこだわるということはまず聞いたことがない。DIFFUSERファンの方には、そんな ある意味変態的なこだわりに魅了されている方も多いのではないだろうか。
今作「SILK SUMI GLASS CODE」も例に漏れず、そんなこだわりの詰まったグラスコードである。
素材の糸は、愛知県一宮市の工場が生産するシルク。軽く滑らかで、手に取ると指先に吸い付くような、肌に溶けるような感覚がある。これは3色の細いシルク糸を捻りにより仕立てた、特別な紐だ。引き締めていないからこその ほろっとした柔らかさは、他の紐にはない特徴である。
しかし広瀬氏は最初、この水墨画デザイン実現において、シルク糸にこだわっていたのではないのだそうだ。最初思いついたのは、染色で水墨画を表現するということ。これまでにもここで何度か 染色のオリジナル紐によるグラスコードをご紹介しているが、それらを思い返すと、確かに染色で水墨画も表現できそうな気がする。
しかし結局、染色で表現することはしなかった。水墨画において広瀬氏がもっともこだわっていた掠れ具合や、繊細な濃淡の実現に、染色では限界があったのだそうだ。
そこで考えついたのが、3色の異なる細くて柔らかい生糸を用いて、その色糸の混ざり具合により、水墨画のような繊細な濃淡を表現すること。そして、空気を含むような捻りでわざと緩めに仕上げ、掠りを表現した。
しかし、この糸色の混ぜ具合、つまり配合の計算が難しく、広瀬氏は苦労したのだという。特に無彩色は、水墨画をイメージしていたこともありそのこだわりが強く、調整には時間をかけた。結果、「Black」と「White」で中間色であるグレーの割合を逆にし、各色で絶妙な濃淡や掠り具合を再現した。
次に6色の展開色について触れよう。
濃淡や掠りを楽しめる、ジャパニーズモダンな6色の天然カラー
天然シルク糸の色合いは、通常の糸よりも選べる幅が広い。カラーは5種類、どれも自然の美しさを用いて描かれる水墨画のような、繊細で美しいカラーに仕上がった。
カラーは「Black」「Brown」「Red」「Light Blue」「Green」「White」の6色。無彩色である「Black」「Brown」
「White」では、まさに伝統的な水墨画のような静かな静かな佇まいを、有彩色である「Red」「Light Blue」「Green」は、鮮やかでありながらも品のある、まさに岩絵具のような天然の美しさを感じることができるだろう。
そこに、DIFFUSERならではのブラス素材による、ビンテージライクなメタルプレート。まさに日本らしさとファッショナブルな雰囲気が融合した、ジャパニーズモダンなデザインだ。
上品な使用感で過ごす、何気ないけど特別な一日
シルク糸は質感も色味も上品で、お洋服を邪魔しないので、何色でも集めたくなってしまう魅力がある。個人的には、無彩色から一色、有彩色から一色選び、気分によって使い分けたい。
使用シーンとしては、お出かけ先や職場ではもちろんのこと、私だったら 家で過ごす何気ない時間に身につけてみたい。シルクのパジャマを着るように、このシルクのグラスコードが首に触れることで、自分を大切にできるような気持ちになりそう。リラックスした格好で、珈琲を飲みつつ、読書をするような時間につけてみよう。何気ないけれど特別な一日に、よく似合うグラスコードなんじゃないだろうか。
正直、強度はない。でも他に変えられぬ風合いが、先にご紹介した水墨画のような濃淡の表現もあいまって、この「SILK SUMI GLASS CODE」にはある気がする。
シルクはずっと触れていたくなるような素材だし、実際に革よりも肌に良い。少しひんやりするようなシルク特有の空気を含んだ触り心地を、ぜひ「SILK SUMI GLASS CODE」でお試しいただきたい。
目にも肌にも心地いい、繊細で美しい世界が、この一本のグラスコードには描かれているはずだ。
SILK SUMI GLASS CODE
■PRODUCT NUMBER
SG1141
■PRICE
¥7,000(+tax)
■COMPOSITION
• Silk
• Brass parts
• Made in Japan
■COLOR
• A / Black
• B / Brown
• C / Red
• D / Light Blue
• E / Green
• F / White
■SIZE
72cm х 0.3cm
山田ルーナ - 文