ジョイエブリタイム株式会社

巡り合わせが生んだ最高のルックブック。Mr.Gentleman EYEWEAR 撮影の舞台裏と、新作の魅力

巡り合わせが生んだ最高のルックブック。Mr.Gentleman EYEWEAR 撮影の舞台裏と、新作の魅力

2026/08/10

無事に完成を迎えた、今期のMr.Gentleman EYEWEARルックブック。美しく刷り上がったそのページをめくるとき、写真の隅々にまで目を凝らしてみてほしい。……あなたは、ある「奇跡」に気が付くだろうか。見開きで印刷された原っぱの写真に、小さな「四つ葉のクローバー」が写り込んでいることを。

 

これは決して狙った仕込みではない。撮影したカメラマンはもちろん、現場にいたスタッフ、制作に関わった全員が、完成するまでまったく気づいていなかったのだそうだ。偶然が手繰り寄せた、密やかな幸運のシンボルなのである。

 

けれども今回のルックブック全体を振り返ってみると、その四葉のクローバーは決して単なる偶然ではなかったのかもしれないと思わされる。この撮影そのものが、不思議な巡り合わせと情熱の引き寄せによって形作られたものだったからだ。

ブランドの聖地、広島に引き寄せられたクリエイターたち

今回の撮影舞台となったのは、昨年と同じく広島。

 

Mr.Gentleman EYEWEARにとって広島は、ブランドの根底に流れる空気感を持つ特別な土地。これまで多くのルックを撮影してきたニューヨークが、大都会の熱気と洗練を象徴するMr.Gentleman EYEWEARらしい舞台だとすれば、広島は、ブランドの美学を表現する上で欠かすことのできない聖地である。

 

そして今回の現場では、まさに「巡り合わせ」と呼ぶにふさわしい奇跡的なチームが組み上がっていた。

カメラマンは、中野章子氏。モデルは、太陽氏。意図していたわけではなく、カメラマンもモデルも、偶然にも広島にゆかりのあるクリエイターが集結。ただ、ブランド史上初となる女性カメラマンの起用、そして同じく初となる準日本人モデルの抜擢など、変わらないアイデンティティを宿した場所で、まったく新しい試みに挑むこととなった。

 

故郷であり表現の場でもある広島の空気のなかで、新たな視点と、新しい美意識が重なり合う。女性カメラマンの繊細で鋭い感性と、国境を超えたモデルの佇まいは、馴染み深い景色の中に、良い意味でヒリついたストリートの緊張感を走らせた。

 

広島というルーツに集った、新しいチーム。ルックブックを開けば、Mr.Gentleman EYEWEARの世界観を表現するのにこれ以上ない条件が揃ったことがお分かりいただけるだろう。

「イカ天」の衝撃。ブランキー・ジェット・シティから受け取った初期衝動

ルックブックに掲載されている新作の魅力についても触れておきたい。今回の新作コレクション、そしてルックブックの根底には、デザイナー高根俊之氏自身の青く熱い記憶が深く脈打っている。

 

10代から20代にかけて、海外のミュージックシーンやカルチャーに夢中になり、海を越えた先のスタイルに強い憧れを抱いていたという高根氏。そんな折、テレビの深夜番組『イカ天(三宅裕司のいかすバンド天国)』の画面越しに突如として現れたのが、BLANKEY JET CITY(ブランキー・ジェット・シティ)だった。

 

何がどう凄いのか、言葉ではうまく言い表せない。けれど、全身の毛穴が開くような、今まで感じたことのない「肌で感じるカッコ良さ」。あの雷に打たれたような衝撃と感覚は、何年経った今でも、彼の脳裏に鮮明に焼き付いているそうだ。

あの時、少年だった彼が肌で感じたカッコよさは、どこまでも尖った狂おしいほどの美しさとも言い換えられる。その衝動をそのままメガネという高精細なプロダクトのデザインへと落とし込んだのが、今回のコレクションだ。

 

特にハイブリッジのツインブリッジ構造には、高根氏のその情熱が色濃く反映されている。特徴的なシェイプと、一見すると難解で癖のあるカラーバリエーション。繊細なチタンリムで形作られたフレームは、あの頃彼らを痺れさせた、重く、激しく、ヒリヒリと尖ったノイズそのものと言えるだろう。

癖のあるシェイプを、シンプルに落とし込む。《ARIANA》《BILLIE》《JUSTIN》

今回のルックブックで発表された新作6型には、プロダクトとしての圧倒的な進化と、デザイナー高根俊之氏のデザイン美学が凝縮されている。

 

まず機能面において、全モデルに「βチタンテンプル」を採用。これにより、金属の硬質な存在感を保ちながら、かけていることを忘れるほど軽く、しなやかな掛け心地を実現した。ツインブリッジシリーズのフロントリムにはチタン素材を使用し、極限まで細く、繊細な仕上がりを追求している。
そして特に注目したいのが、《ARIANA》《BILLIE》《JUSTIN》の3型だ。

この3つのモデルを高根氏流の言葉で表現するなら、「癖のあるシェイプを、シンプルに仕上げたコレクション」。言い換えるなら、「かけるほどに癖になる、シンプルシェイプの追求」でもある。
アイウェアデザインにおいて、個性を出そうとすると過剰な装飾に頼りがちになる。逆にシンプルを求めすぎると、どこにでもある退屈なプロダクトになってしまう。だからこそ、一見すると「少し難しい曲線」や「癖のあるフォルム」をギリギリまで計算し、無駄な要素を削ぎ落としてシンプルに昇華させるというところに、アイウェア製作における技術とセンスが問われる。

 

かける前は一瞬怯むかもしれない。けれど、一度顔に乗せた瞬間、その違和感は洗練された調和へと変わり、手放せない自分だけのアイコンへと変化していくだろう。それこそが、高根氏がこの3型に仕掛けたデザインのマジックなのだ。

反逆のストーリー。カタログに寄せた言葉

こうして出来上がったプロダクトと、広島で奇跡的に撮り下ろされた写真たち。それらを束ねるカタログの扉に、私もまた言葉で参加させていただいた。今シーズンに寄せたのは、こんな文章だ。

 

ノイズに潜む、繊細な旋律。

 

ヒリヒリするほどに尖って、それでいて調和して。
一見難しい曲線は顔に乗って初めて、
あなたのためだけにビートを刻む。
それは美の本質を追い求める
真のジェントルマンのためのクリエイション。
退屈なモダンに、今こそ反逆しよう。
ミニマルが美しさの全てではないのだから。

 

世の中は今、扱いやすく、角の立たない「無難でミニマルなデザイン」で溢れかえっている。世間が美しいと呼ぶその「退屈なモダン」に対して、最高にクールな方法で反逆すること。ブランキーの音楽がそうであったように、ノイズのように尖った存在でありながら、かける人の顔の上で奇跡的な美しい旋律を奏でること。完成したルックブックのページをめくるとき、その揺るぎない美学と、静かな狂気のような思想が、画面全体から匂い立つように立ち上ってくることをお分かりいただけるだろう。

撮影現場にいた誰も気づかなかった幸運の四葉。それはきっと、難しさを恐れず美の本質を追い求めたこのクリエイションに、神様がそっと添えてくれた小さな祝福だったのかもしれない。

 

退屈な時代に抗う、真のジェントルマンたちへ。ぜひこのルックブックを開き、そして新しいメガネを顔に乗せて、あなただけのビートを刻んでほしい。

 

あなたの四つ葉のクローバーは、きっとその先にあるはずだ。

山田ルーナ - 文

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